Solomon Is. National Security Agreement with PRC/Col.Newsham, Ms Paskal 日本語サマリー

f:id:yashinominews:20220331082527j:plain

先日のTweeter Spaceの英語セッションを和文でサマリーしました。共同通信の金子さんがやってくれると私が勘違いしており、自力でやりました。修正加筆歓迎。

 

中国・ソロモン諸島安全保障協定トークまとめ

f:id:yashinominews:20220331082014j:plain

Colonel Grant Newsham

中国・ソロモン安保協定は、中国軍の太平洋地域での活動活発化への「最初の一歩」

 

・今回締結された協定は中国が簡単かつ自由にソロモン諸島にアクセスできるようになった。近年ソロモン諸島は、中国に急速に接近し、2019年には台湾との外交関係を断絶し代わりに中国と外交を樹立した。この協定は、中国人民解放軍が太平洋地域で軍事的プレゼンスを確保・活動する上での最初の一歩となるだろう。

・協定は、中国に利益を供与するもので、保護領や植民地に近い状態となる内容だ。協定締結にあたってのソロモン諸島のソガバレ首相のスピーチに関しては、まるで中国人が書いたようなかきぶりであり、中国外務省が行うプロパガンダのようで、豪州に対して「黙れ」と言っているような内容。今回の協定締結を機にソロモン諸島は完全に中国陣営に入った。中国から賄賂も受け取っているであろうと推測する。日本が第二次世界大戦で行ったように、私でさえ、ソロモン諸島に軍事的プレゼンスがほしいと思うような戦略上、重要な場所。

――中国の介入

・パプアニューギニアやバヌアツには政治的環境がこのような協定を結ぶ状況になかった。中国はここ6,7年パプアニューギニアにも入ろうとしている。

・中国の介入は必ず経済的なものから始まる。同時に犯罪組織が賄賂を繰り返し、介入していく。このような犯罪組織のもとをたどれば中国政府、中国共産党や中国軍に行き着く。こういった腐敗は、公にすることで止めることができる。米国や豪州がこういったことに積極的に関与していくべきだと考えている。そのまま放置し、隠れて活動できる環境があることは犯罪組織を利するだけだ。

――日本にはなにができるか

・日本は太平洋地域に米国と違い、たくさんの大使館があるが、さらに人員や大使館を増やしてもいいだろう。日米間でこの地域において包括的な戦略があることや自衛隊の活動が同地域でさらに活発化させることも望ましい今の海上自衛隊の人員では不十分でおそらく倍にしないといけない。日本は豪州や米国とともに太平洋島嶼国と共同オペレーションをすることを期待したい。米国のプレゼンスが無いとなにも影響力を行使することができないが中国はあるので行使できる。

 

f:id:yashinominews:20220331082006j:plain

Ms. Cleo Paskal

 

台湾問題を話さずして、中国・ソロモン諸島安保協定は語れない

 

・中国の狙いは覇権で、海軍が第1列島線を超えてきている。台湾問題を話さずしてソロモン諸島は語れない。その理由は、台湾の奪取を中国がしやすくするためには太平洋側の拠点が必要である。台湾を統一することによって台湾を利用し、太平洋地域を支配下に置くことができると考えている。太平洋島嶼国を支配下に置くことは、日本や豪州の介入を拒否することに繋がり、台湾支援を難しくすることができる。

――中国は我々を試している。

・今回の協定は、中国が逃げ切れるかどうか我々を試しているのだろう。この協定を見逃すことは、他の島嶼国で植えた種が、芽を出し、基地の増設に繋がる。そうなると台湾は、両側に中国に包囲されるような形になる。これは中国軍の戦略家たちが考えていることであろう。自由で開かれたインド太平洋が中国の拡張主義によって試されている。

・こういった動きは2004,2005年から見えるようになり同時に南シナ海で中国軍の拡張が進んでいった。

――ソガバレ首相は、ずっと反豪州

・ソガバレ首相は20年間、現在のように反豪州だった。ソロモン諸島はたくさんの人口、言語、文化を持つ人々で成り立っており、資源がしっかり中央政府によって分散されていないことに人々からは不満があった。内戦も勃発し、2000年のタウンズビル合意によって一旦収束した。当時、ソガバレが首相として合意に関わった。その後再び権力の座に戻ると、国民合意の形成がされないまま、台湾との外交関係を断絶し、中国の企業が流入していった。そういったことによって2000年の合意内容が履行されない状況下で国民の不満が爆発した。

――前回の内戦と同じ状況下にある

・合意内容が履行されていない状況でまた、前回の内戦と同じ状況下にある。ただ一点違うのは、中国が後ろ盾になっていること。ソロモン諸島の政府に敵対する人に対して、テロリストや分裂派と称し、領土の一体性を保つため、軍の介入が必要であるという口実を中国軍は待っている。平和維持と称して軍の介入を正当化するであろう。それが起きないため、ソロモン諸島から信頼されている日本などの役割が重要となってくる。タウンズビル合意をしっかり履行できるメカニズムが必要となるだろう。

――仲介できる国はフィジーなどの国々

・フィジーは仲介することができるであろう。ソロモン諸島の文化を理解できる国々が必要となる。例えば、英国、日本、豪州や米国。

――50人のソロモン諸島国会議員のうち39人は中国マネーを受け取っている

・私たちが知っているのは50人の国会議員のうち39人に中国マネーが渡っていることだ。その39人はソガバレ首相を支持しており、憲法も変えられる人数となっている。ソガバレ首相が狙っているのは憲法改正と、選挙の延期。今、選挙をしてしまうと負けることになるからそれを警戒している。

――中国の手法で問題を対処してはならない

・中国は、賄賂や警察を使って介入する手法をとっているが、我々はその手法を使ってはいけない。もし賄賂が行われているなら「記事にするぞ」と相手に言うことだ。

――メディアの役割とは

・メディアには重要な役割がある。豪州でも同じようなことが起きた。中国マネーが豪州の政治に流入し、情報機関はメディアに情報を共有し記事が出るようになった。そこで二つのことが起きた。一つはそういった政治権力者の権力が奪われたことでもう一つは、新たに中国からお金を受け取る抑止になったこと。国民が知ることによってこういった政治が続いてはならないということに気付くだろう。

――合意履行後の各国に求める対応

・日印で対応することも可能であろう。日本は高い質の基準や技術などを持っている。インドは技術人材が豊富にいる。英語もしゃべられる。欧州国よりもうまく対応できるだろう。日米豪印はそれぞれ別のアプローチの手法があるが、お互いを補える力がある。もし島嶼国の国々で自由と安全がなければ、自由で開かれたインド太平洋はないだろう。太平洋島嶼国の人々のニーズをくみ取れる中国の戦略などを理解できる専門家が必要となってくるだろう。